Question
当社は本業に加えて損害保険の代理店業務を行っており、社員が業務中に事故等でケガをしても、会社で加入している傷害保険で対応できます。
ですから、労災保険には加入したくないのですが、どうしても加入しなくてはなりませんか?
また、加入している場合としていない場合とでは、何が違ってくるのでしょうか?
Answer
労災保険は労働者保護の立場をとっているため、事業主が加入の手続きをしていなくても、労働者が労災事故にあった場合には保険給付が行われます。
ただしこの場合は、保険料を支払っていないのに給付が行われるわけですから、遡って保険料の負担を強いられるだけでなく、加入の手続きを怠っていた事業主に給付された金額の全部または一部を負担させる、という大きなペナルティがあります。
労災保険では、被災労働者が死亡したり障害者になってしまった場合は、遺族年金や障害年金が給付されることがありますが、民間の保険では、たとえ労災保険料より多くの掛金を支払ったとしても、これほど手厚い保護は受けられません。
「うちは死亡事故なんてありえない。起きても軽い事故だから民間の保険で大丈夫。」そうお考えの方もいらっしゃるでしょう。しかし、いくら事業主が民間の保険で労災と同様の給付が受けられることを説明しても被災労働者が納得せず、労基署が労働者の給付請求に職権で対応して、結局は上記ペナルティが事業主に課せられてしまうといったケースもあります。いざ事故がおきたときには、正規の手続きを求める人は意外にも多いものなのです。
つまり、傷害保険に加入しているからといって、労災事故に対する備えが十分であるとは、まったくもっていえないのです。
もちろん、業務上で死亡事故が起きた場合などは、遺族への補償は労災給付だけでは足りず、民事訴訟で会社側が数千万円単位の和解金を支払って解決するのが一般的ですから、労災事故に備えて民間の保険にも加入しておいた方がいいことは明らかです。しかし、それはあくまでも労災給付の上乗せとお考えいただくべきだといえます。
作成日:2008/05/20



