会社を設立して従業員を雇用すると、次の4種類の保険制度に加入することになります。
- 労災保険
- 雇用保険
- 健康保険
- 厚生年金保険
このうち、上の二つを合わせて「労働保険」と呼び、下の二つを合わせて「社会保険」と呼びます。
労災保険とは
労災保険は、業務が原因で働く人がケガをしたり、病気になったり、死亡した場合や、また通勤の途中の事故などの場合に、国が事業主に代わって給付を行う公的な保険制度です。
労働基準法では、労働者が仕事で病気やケガをしたときには、使用者が治療費を負担すること、また、その病気やケガのために労働者が働けないときは、休業補償を行うことを義務づけています。
しかし、会社に十分なお金がなければ労働者が必要とする補償を行うことができません。そこで、労働災害が起きた場合に労働者が確実な補償を受けられるように、労災保険制度が設けられているわけです。
労災保険は、基本的に労働者を一人でも雇用する会社は加入が義務づけられており、保険料は全額事業主が負担します。労災保険の対象となる労働者は、正社員だけでなくパートやアルバイトも含むすべての労働者です。
雇用保険とは
雇用保険は、労働者が失業した場合に、生活の安定と就職の促進のための失業等給付を行う保険制度です。
事業所の規模にかかわらず、1週間の所定労働時間が20時間以上で、31日以上雇用される見込みがある人を雇い入れた場合は適用対象となります。
保険料は労働者と事業主の双方が負担することになっていますが、事業主の負担する割合が多く、雇用の維持や雇用の促進を行う企業に対する助成金の財源は、そのお金でまかなわれることになっています。
健康保険とは
健康保険は、労働者やその家族が病気やケガをしたときや出産をしたとき、亡くなったときなどに、必要な医療給付や手当金の支給をすることで生活を安定させることを目的とした社会保険制度です。
※健康保険は業務外の病気やケガが対象です。業務上の場合は労災保険を使用します。
病院にかかる時に持って行く保険証は、健康保険に加入することでもらえるものです。これにより、本人が病院の窓口で払う額(窓口負担)が治療費の3割となります。
健康保険は、法人事業所、または、常時5人以上を雇用する個人事業所では強制適用となっており、適用事業所で働く労働者は加入者となります。
パートタイマーやアルバイトは、1日または1週間の労働時間および1ヶ月の所定労働日数が、通常の労働者の分の4分の3以上あれば加入させる必要があります。
保険料は、事業主と労働者が折半で負担します。
厚生年金保険とは
厚生年金保険は、労働者が高齢となって働けなくなったり、何らかの病気やケガによって身体に障害が残ってしまったり、大黒柱を亡くしてその遺族が困窮してしまうといった事態に際し、保険給付を行う制度です。
厚生年金保険の適用事業所は、健康保険と同様に法人事業所、または、常時5人以上を雇用する個人事業所では強制適用となっており、適用事業所で働く労働者は加入者となります。
パートタイマーやアルバイトに関する取り扱いも健康保険と同じで、保険料も健康保険と同様に事業主と労働者が折半で負担します。
| 補償が受けられるとき | 保険料の負担 | その他の特徴 | |
|---|---|---|---|
| 労災保険 | 業務災害や通勤災害による病気、ケガ | 会社が全額負担 | |
| 雇用保険 | 失業など | 会社(多め)と社員(少なめ)が負担 | 助成金が受給できる |
| 健康保険 | 業務外の病気、ケガ | 会社と社員が半額ずつ負担 | |
| 厚生年金保険 | 高齢、障害、死亡 | 会社と社員が半額ずつ負担 |
労働保険料、社会保険料の支払方法
労働保険料(労災保険料と雇用保険料)は、毎年4月から3月までの1年間に労働者に支払われた賃金の総額から算出し、年に1回、または3回に分けて支払います。
社会保険料(健康保険料と厚生年金保険料)は、被保険者(労働者)の報酬から算定された保険料を毎月口座振替にて支払います。
労働保険料、社会保険料の両方とも、労働者の負担分が発生しますが、これは労働者に支払われる給与から控除し、事業主がまとめて納めることになります。
労働保険料の納付と各種の手続き
年に一度行わなくてはならない労働保険料の確定精算を「労働保険の年度更新」と呼びます。労働保険にはこの年度更新を初めとするいろいろな手続きが必要です。
社員が入社したとき、退職したとき、業務災害や通勤災害に遭ったときなど、事業主は労働基準監督者やハローワークに各種の届出を行うことになります。
このような手続きの必要性は社会保険も同じで、事業主は年金事務所や健康保険協会に各種の届出を行うことになります。
手続きの外部委託について
労働保険や社会保険の手続きは、基本的に事業主が行うものですが、社会保険労務士に委託して代行してもらうことが法律で認められています。
現在では多くの中小企業が社会保険労務士を活用していますが、その理由は次のようなものと考えられます。
- 専門的知識を有している方が手続きが適正に行われ、スムーズに進むこと
- 忙しい事業主が業務に専念するためには外部に委託した方が効率がいいこと
- 労働者の雇入れに関するルールなど、専門家の指導を必要としていること
作成日:2011/09/20



