J.S.

最低賃金と固定残業計算ツールなど

10月からの最低賃金の変更で、「自社の月給の設定が最低賃金違反になってしまうのかがよくわからない」というお客様や「固定残業を導入しているが、基礎賃金を上げて最低賃金を下回らないようにすると、その固定残業が何時間分の時間外労働に該当するのかわからない」といったお客様がいらっしゃいます。

賃金をどう設定するかは会社にとっても働く人にとっても重要な問題ですから、そういうご相談があれば、できるだけわかりやすく説明してご納得いただけるようアドバイスしていますし、固定残業を計算できる便利なツールなどもありますので、それをお渡ししてご利用いただく、といったことも行っています。

そういったツールは、もともとは自分たちがコンサルティングしやすいようにExcelで作成したものですが、使いこなすことができるお客様にはどんどん提供するようにしています。

 

また、ここ数か月の間に労働時間の管理を適切にできるようにするExcelの勤怠管理簿も何社か作成して提供しました。運送業でデジタコを導入していないため日報で労働時間を把握しているが労働局の指導で改善するように勧められたお客様、建設業で日勤+夜勤と1日に2回の出勤をする日があり普通の出勤簿では対応できないケースなどです。

もちろん、クラウドの勤怠管理システムを導入してもらうという手もあるのですが、きちんと運用するには総務など管理部門にある程度のITに関する知識を有する社員がいないと厳しいですから、小規模な会社だとExcelツールが最適だったりします。

こんな感じで顧問契約をしていただいているお客様には、その会社の状況や特殊事情に応じたツールや書類など作成していますので、「うちはこんな状況なんだけど、どうしたらいいのだろう~」って思っている場合は、ぜひご相談いただけたらと思います。

最低賃金の本来の趣旨は・・・

最低賃金は毎年10月から適用されますね。今年は40円ぐらい上がるとニュースで言っていたのを聞かれて、気になっている方もたくさんいらっしゃることでしょう。

厚労省から「最低賃金の答申がなされた」という発表がありました。今年は愛知で41円、岐阜で40円のアップなので、それぞれ1027円、950円となるようですが、他の都道府県など詳しくお知りになりたい方は以下のリンク先をご覧くださいね。

全ての都道府県で地域別最低賃金の答申がなされました

 

最低賃金というのは、もともとは地域ごとの賃金を調べて平均をはじき出し、それを大きく下回るような低い賃金を設定できないようにして、働く人たちの生活を守ろう、とか、過剰な搾取はやめさせよう、といった趣旨だったと思います。

だから、何年か前、たぶん今から15~20年以上前は「○○円上げよう」といったことはなくて、単に平均を見ながら決めていたと思います。

それが今や、最低賃金を上げて日本中の賃金を上げようと考えているみたいで、なんとなく政治の道具に使われてしまっているような感じがしますね。

景気が良くなって企業が儲かれば、賃金も勝手に上がり、平均も上がるから最低賃金も上がる、といった流れが本来の姿なので、最低賃金を上げて儲かってもいないのに無理やり賃金を上げさせようとする今の流れに違和感を感じている方も多いのではないでしょうか。

 

 

 

少し近況を。

労災事故がちょくちょく発生していまして、給付の申請だけでなく、その後の防止対策の労基署への報告(なにをしたらいいか、どういう風に書類を作ったらいいか・・・)など対応しています。

労災事故が起きると、ケガの度合い、休業の長さ、業種、どんな事故か・・・さまざまな要素を踏まえて調査が行われ、再発防止への取り組みを求められます。お困りの事業主様はぜひご相談くださいね。

賃金制度の見直し

当事務所は毎月、何社かの案件に取り組んでいますが、最近は選択制企業型確定拠出年金を使った退職金制度の導入、賃金制度の見直し、求人応募の増加と意図する人材の採用を目的とした求人票の作成援助など、があります。そして今回は、賃金制度の見直しについて触れたいと思います。

 

当事務所は、会社の制度に関することやコンプライアンスへの取り組みなど、様々なコンサルティング業務を行っていますが、その中でも賃金制度の見直しは、大企業のやり方を見習うのではなく、中小企業の規模に合わせた独自の制度を作り上げることが最適解だと考えています。

 

賃金の制度は、基本給+通勤手当だけという単純なものから、手当をいくつも支給している複雑なものまで、会社ごとにいろいろな特徴があって本当に様々です。

 

基本給や各手当は、本来は就業規則や賃金規程、給与規程といった付属の規程などで、その趣旨や金額などが説明されているはずです。しかし、気が付けば、就業規則・規程に定めていない手当を支給していたり、一部の人だけにしか手当が支給されていなかったり、ある手当が本来とは違う趣旨で支給されていたり、支給金額が適正なものでなくなっていたり・・・と、いつの間にか制度がぐちゃぐちゃになっていることがあります。

転職者を受け入れる際に、前職で支給されていた給与水準を考慮して採用したり、一部の従業員から出た不満を解消するため、本来の制度を捻じ曲げたりすることで整合性が崩れてしまいますが、人を採用したり、退職を思いとどまらせたり、といった日々の経営者の苦労と努力の結果でもあるので、決してダメなことではないと思います。崩れてきたら、ときどき直していけばいいのです。

 

そこで、このようなカオスな状態を整理し、一定のルールのもとに公正でバランスの取れた賃金制度を取り戻したい、といった場合に、それを手伝い、導いて欲しいということで、賃金制度の見直しを依頼されるわけです。

見直しを行う際、世の中の多くの会社はどのようにしているのか、最近の傾向はどういったものなのか、を気になさっている方も多いので、そういったことも説明しますが、賃金をどういう趣旨で支給するのか、例えば、会社への貢献に対して支給するのか、それとも生活給として支給するのか、というように、何を重視するのかについて経営者の考え方をヒアリングしながら進めていくと、満足のいく制度に近づけるのではないかと思います。

 

賃金制度にモヤモヤを感じていたら、ぜひ当事務所にご相談ください。