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「固定残業代」の正しい設定法

「固定残業代」の正しい設定法

中小企業の多くで『固定残業代』が導入されています。この『固定残業代』とは、基本給とは別に毎月一定の金額を残業代として支払うものです。

毎月の残業計算を省くために導入される固定残業代は、一見すると便利なもののように思えますが、金額が低めに設定されているケースが多く、「残業代をきちんと計算してみたら不足していた」という事がよく起こります。

ここでは、どうして不払い残業になってしまうのか、その仕組みを解説すると共に、不払い残業問題を引き起こさないような「固定残業代」の設定方法を解説します。

労働基準監督署に指摘されて、大きな債務を発生させてしまう前に、「固定残業代」の適正な設定の仕方を知り、不払い賃金の防止対策を行いましょう。

 

不払い残業が起きる背景

固定残業代によって不払いが発生する原因は次のようなものです。

 

●残業時間の平均化

残業代は本来、残業時間に応じて毎月異なるものです。固定残業代を設定する際に、毎月の残業時間の平均値を割り出して設定すると問題が生じます。

実際の残業時間が平均を下回る月は、残業代を余分に支払うことになるため問題ありませんが、平均を上回る残業を行った月は支払いが不足します。

労働基準法では、毎月一定期日に賃金の全額を支払うこととされており、この不足分を翌月以降に持ち越すことは認められないため、その都度精算して支払わないと「不払い残業」になってしまうのです。

 

割増賃金の計算ミス・知識不足

法定労働時間を超える残業や法定休日、深夜労働には、割増賃金の支払いが必要になってきます。

しかし、割増賃金の計算を間違えたり、割増賃金というもの自体を知らずに通常の単価で残業代を計算して固定残業代を設定すると、不払いが発生してしまいます。

 

根拠のない設定金額

小規模な会社では、社長がなんとなく「残業代は2万円」といった具合に決めたりすることが多いですが、この数字にまったく根拠がない上に、少なめに設定されているため、不払いが生じます。

 

不払い残業発生の事例

不払い残業が発生してしまう固定残業代の設定例を解説します。

F社に勤めるAさんには次のような給与が支払われています。固定残業代が「時間外手当」の名目で毎月20,000円支給されています。

F社の所定労働時間は1日8時間、1週40時間です。Aさんは毎日平均して1時間の残業を行っており、今月の残業時間は20時間です。Aさんの残業代が足りているか?(不払いになっていないか?)を計算してみます。

ちなみに、今月の所定労働時間は168時間でした。

まず、1時間当たりの労働時間の単価を求めます。
[基本給]+[通勤手当と時間外手当を除く各種手当の合計]=260,000円
260,000円÷168時間=1,548円 です。

F社の所定労働時間は1日8時間、1週40時間ですから、Aさんの残業はすべて法定時間外労働に該当し割増賃金が発生するので、残業1時間当たりの単価は、
1,548円×1.25=1,935円 となります。

残業代の20,000円でカバーできる残業時間は、
20,000円÷1,935円=10.3時間 です。

Aさんは20時間の残業を行っているので、9.7時間分の残業代が不足し、
1,935円×9.7時間=18,770円 が不払いとなります。

 

不払いが発生しない設定例

上記の例では残業代が不足していましたが、賃金体系を変更し不払いが発生しにくくなるようにしてみます。

具体的には、総支給額を変えずに基本給を引き下げたり各種手当の引き下げや廃止を行って、固定残業代として支払われている「時間外手当」の割合を増やします。

では、再び残業代が不足していないか計算してみましょう。

まず、1時間当たりの労働時間の単価を求めます。
[基本給]+[通勤手当と時間外手当を除く各種手当の合計]=230,000円
230,000円÷168時間=1,369円 です。

上記と同様に、Aさんの残業1時間当たりの単価を求めると、
1,369円×1.25=1,711円 となります。

残業代の50,000円でカバーできる残業時間は、
50,000円÷1,711円=29.2時間 です。

今度は不足がありませんでした。

 

まとめ

固定残業代で問題となるのは、残業代として設定した金額が少なすぎることです。総支給額における固定残業代の割合を増加させて、不払い残業を防止してください。

各月の残業時間の平均値を固定残業代として設定しているところは、平均値ではなく最大値を設定するようにしてください。

上記に示した例を参考にして、各労働者や各部署の賃金体系を見直しましょう。

 

更新日:2008/11/25

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